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    <title>婚活小説「キッカケ」</title>
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    <updated>2010-03-31T06:36:31Z</updated>
    
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    <title>第１０話　運命を賭けた夜</title>
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    <published>2010-03-31T06:35:00Z</published>
    <updated>2010-03-31T06:36:31Z</updated>

    <summary>理子を忘れられない元木。一大決心をして一年後理子をディズニイーシーに誘う。そこで思いの全てを込めてのプロポオーズをするのだった。</summary>
    <author>
        <name>小木曽　由加理</name>
        
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://kon-katsu.jp/novel/01/">
        <![CDATA[<p>　僕と理子ちゃんの間に、予想もしないような別れの訪れ。</p>

<p>　彼女からの<br />
　『もう私たちダメだと思う......』<br />
　というメールを受け取ってから、僕はしばらく考えた。</p>

<p>　その後、何度か電話やメールを送ったけれど、彼女からの反応はない。<br />
　本当は別れたくなかった。<br />
　しかし、今の僕と一緒にいても理子ちゃんは辛いだけかもと思った僕は、それ以来、連絡をすることを断った。</p>

<p>　散々な終わり方...。</p>

<p>　それ以来、僕は無理やりサッカーに明け暮れ、理子ちゃんとのことを考えないようにしていた。<br />
　でも、それは長くは続かなくて...。<br />
　ようやく、自分の気持ちを伝えるべく行動を起こしたのだった。</p>

<p><br />
　新しい年が明けて、理子ちゃんとの出逢いからちょうど一年経ったころ、僕は彼女に手紙を書いた。<br />
　年末から進めていた、この"計画"を実行するために......。</p>

<p></p>

<p>　理子ちゃん<br />
　お久しぶり。元気にしてますか？<br />
　この数カ月、理子ちゃんのことを考えないようにしていたけど、考えないようにすればするほど、駄目でした。<br />
　前にメールを送ったように、確かに僕は理子ちゃんに嘘をついた。<br />
　元彼女との再会は、理子ちゃんが思っているようなことは決してなくて、メールに書いたことがすべて。<br />
　でもそれを知っても、返事がなかったということが理子ちゃんの返事なんだと思う。<br />
　でももう一度だけ、僕の気持ちを聞いてほしいので、待ってます。<br />
　２月１４日に、ディズニーシーのエントランスで。</p>

<p></p>

<p>　僕が年末から立てていた"計画"。<br />
　ディズニーシーでは、"バレンタイン・ナイト"という期間限定のイベントがある。<br />
　入手困難なこの数量限定チケットを僕は必死で手に入れた。<br />
　バレンタインデーは、女の子が愛を伝えるイベントだけど、別に男から伝えたっていいと思ったから。<br />
　それに、僕も理子ちゃんも好きなディズニーの空間で、僕の気持ちを伝えたかったから。</p>

<p></p>

<p>　彼女が来るか来ないかもわからないまま、僕は約束の３０分前にエントランスに立っていた。<br />
　約束の時間が過ぎるか過ぎないかのうっすらと暗くなった頃、遠くから見覚えのある背格好の女性が歩いてくる。</p>

<p>　理子ちゃんだ。<br />
　僕は、初めて二次会で逢ったあの日、遠くから歩いてきた理子ちゃんの姿をふと思い出した。</p>

<p>　「久しぶり。」</p>

<p>　変わらぬ笑顔で、でもちょっと緊張したような顔で彼女が口を開いた。</p>

<p>　「どうして？どうしてディズニー？」<br />
　「どうしても見せたいイベントがあってね。」<br />
　「イベント？」</p>

<p>　理子ちゃんは、この"バレンタイン・ナイト"を知らなかったようだ。<br />
　チケットを見せて、期間限定のイベントだということを伝えると</p>

<p>　「えっ？ほんと？楽しみ！！」</p>

<p>　緊張気味の顔は、あっという間にいつものはしゃぐ顔に変わった。</p>

<p>　イベント会場の「ブロードウェイ・ミュージックシアター」へ向かいながら、変わらぬ彼女の声と嬉しそうな顔が横にある。<br />
　ただ、変わってしまったのは、僕と彼女の距離。<br />
　一緒に歩いていても、もう昔のように手を繋ぐことはなかった。</p>

<p><br />
　会場に入ると、そこはいつものシアターとは違って、"バレンタイン・ナイト"仕様になっている。<br />
　バレンタイン当日だったので、カップルだけのベタベタラブラブな雰囲気かと思いきや、家族連れが多かったのに心なしか救われた。</p>

<p>　オーケストラの演奏を皮切りに、いろいろなキャラクターが踊ったり歌ったり、時には感動で涙が出そうになるような素晴らしいショーの合間のこと。</p>

<p><br />
　舞台スクリーンの大画面に映る文字。</p>

<p><br />
　"理子ちゃん、来てくれてありがとう　<br />
　やっぱり僕は、理子ちゃんを失いたくない　<br />
　愛してる　結婚しよう　拓朗"<br />
　</p>

<p>　実は僕は、投稿したメッセージがスクリーンに抽選で映し出されるという企画に申し込んでいたのだ。</p>

<p>　映し出されるかどうかは、とにかく当日にならないとわからない。<br />
　何組のメッセージが紹介されるかすらわからない。<br />
　その一か八かに賭けてみたのだ。</p>

<p><br />
　この大画面に映る文字を見た理子ちゃんは、すぐに自分のことだと気付き、驚いた顔で僕と画面とを交互に見ていた。</p>

<p><br />
　すぐに、また楽しいショーが始まったから、メッセージについて、すぐに会話をすることはなかったけど、僕の想いはこの短い言葉で伝えたつもりだった。<br />
　</p>

<p>　すべてのショーが終わった後、"バレンタイン・ナイト"のチケットを持っていないと食べられないという、オリジナルチョコレート付きのストロベリーパフェを食べながら、彼女はまだ興奮冷めやらぬ感じで、話している。</p>

<p>　ただ、あのメッセージに関しては、何も触れようとはしなかった。</p>

<p><br />
　もう時間も遅くなるので、僕は本題を切り出した...。</p>

<p></p>

<p>　「あのね。なんだかんだいっても、やっぱり僕は理子ちゃんに傍にいて欲しい。だからあのメッセージが僕のすべての気持ちなんだ。返事はこれでいいから。」</p>

<p>　そう言って僕は一枚のカードを差し出した。</p>

<p>　「何これ？」<br />
　「チケットについてきたカードなんだ。このカードにメッセージを書いて投函したら、ホワイトデー前後に届くんだって。これに返事を書いて出してほしい。届くまで、待つから...。」</p>

<p><br />
　こんなに短時間で答えを求めるなんて、気が早いかとも思ったけど、短時間でもこれが精いっぱいの気持ちだったから、もう悔いはない。</p>

<p>　お互い見えないところで、メッセージカードを書いて、パーク内のメールボックスに投函した。</p>

<p></p>

<p>　さすがにここから一人で帰すわけにはいかなかったので、付き合っていた頃のように駅まで理子ちゃんを送る。</p>

<p>　ただ...、付き合っていた頃のような会話はなかったけど...。</p>

<p></p>

<p>　別れ際、</p>

<p>　「またね。」</p>

<p>　と言った彼女。<br />
　"じゃあね"ではなく"またね"と別れたことに、僕は少しだけ期待をしていいものだろうか。</p>

<p></p>

<p></p>

<p>　あの再会から一ヶ月がたち、ホワイトデーが近づくにつれ、僕はポストが気になりはじめた。<br />
　<br />
　１３日...、こない。<br />
　１４日.........、届かない。</p>

<p><br />
　そして、１５日。<br />
　運命のメッセージカードが届いた。</p>

<p>　見覚えのあるカード。<br />
　震える手で裏を見ると.........。</p>

<p></p>

<p><br />
　「ありがとう。<br />
　　私にも、拓朗君が必要です。<br />
　　離れてわかったその優しさ。<br />
　　もう二度と離したくありません。<br />
　　ミッキーとミニーに負けないくらいの２人でいようね。」</p>

<p></p>

<p>　僕たちは、一度は別れてしまったけれど、その期間は２人にとってなくてはならない期間だったように思う。</p>

<p><br />
　そのおかげで相手の大切さをわかることができたから。</p>]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>第９話　まさかの別れ</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://kon-katsu.jp/novel/01/09.html" />
    <id>tag:kon-katsu.jp,2010:/novel/01//75.868</id>

    <published>2010-03-24T07:37:00Z</published>
    <updated>2010-03-24T07:41:01Z</updated>

    <summary>順調に交際を続けていた元木と理子。サッカー好きの元木はサッカーの練習でデートさえもしなくなってきた。そんな中、元カノとの再会をきっかけに理子とケンカし、とうとう別れを言われることになる。</summary>
    <author>
        <name>小木曽　由加理</name>
        
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://kon-katsu.jp/novel/01/">
        <![CDATA[<p>　僕が理子ちゃんと付き合い始めてから、早いもので８ヶ月が過ぎ、初秋を迎える今、サッカーシーズンもピークを迎え、ほとんどの週末が遠征や練習などで潰れている。<br />
　そんなサッカー漬けの日々で理子ちゃんは納得しているかというと、正直納得していないようだ。<br />
　僕がサッカーを好きだということは理解している。<br />
　たがらこそ、毎週の練習にも理解を示してくれているのだが...。</p>

<p><br />
「またサッカー？」</p>

<p>　なんて言葉が喧嘩の原因になることが増えてきた。</p>

<p>「私と仕事どっちが大事？」<br />
　<br />
　なんて発言が世間ではよく取り沙汰される。</p>

<p>　しかし僕の場合は、"彼女とサッカー"。<br />
　はっきり言ってどっちも大事だし...、彼女とはずっと付き合っていきたいし、サッカーだって大事。<br />
　比較するものでもないんだけど...。</p>

<p>「しょうがないじゃん。」</p>

<p>　僕はこの言葉しか返せなかった。<br />
　個人プレーなら休んでも迷惑かけないけど、サッカーは１１人でするものだし...。</p>

<p>　僕がこの「しょうがないじゃん」という言葉を軽はずみに使うことが彼女は許せなかったんだろう。</p>

<p><br />
　ある土曜日、来るはずの理子ちゃんがなかなかやって来ない。</p>

<p>　「仕事帰りに、家に寄るからね。」</p>

<p>　というメールを受けたのは昨日。<br />
　いつもなら、土曜は７時には家に着いているのに...。<br />
　おかしいなと思いながら、メールをしてみたけど、待てど暮らせど返事はない。</p>

<p>　心配になって、電話をしてみるが、留守電だ。<br />
　仕事が長引いているのかと思って、とりあえず連絡を待つが一向に来ない。</p>

<p>　９時が回ったのでもう一度電話をしてみると、長いコール音のあと、ようやく電話に出た。<br />
　<br />
「もしもし？どうした？」<br />
「.........」<br />
「何かあったの？」<br />
「.........」<br />
　<br />
　何度呼びかけても、黙っている。<br />
　その時小さな声で彼女が声を出した。</p>

<p>「......よね...。」<br />
「えっ？」<br />
「拓朗君、サッカーで忙しいんだよね...。」</p>

<p>　一体何が言いたいのかわからず、返事に困っていると</p>

<p>「元カノと会う時間はあっても、私と会う時間はないの？」<br />
　　<br />
　いきなりだ。</p>

<p>「偶然会っただけって言ったじゃん。」</p>

<p>　そう。確かに僕は一昨日元カノと会った。<br />
　その事も、理子ちゃんにはきちんと告げていた。</p>

<p>　「会っただけなんてうそつき！バイクのステップ降りてるじゃん。送ったんでしょ！」</p>

<p>　いきなりのこの発言に、僕は返す言葉がなかった...。</p>

<p></p>

<p>　あれは一昨日のこと。<br />
　会社を出たところで、元カノが待っていた。</p>

<p>　もう何年も会っていない元彼女が僕のことを待っていたのだ。</p>

<p>　その事を、僕は理子ちゃんに報告した。<br />
　ただ、同時にひとつの嘘をついていたのだ。</p>

<p>　「偶然ばったりと道で会って、少し話しをして別れた。」</p>

<p>　と。</p>

<p><br />
　絶対にばれるはずのないと思っていた嘘を、彼女はこんなにも早く見破った。<br />
　恐らく、さっき僕の家に来た時に、普段はたたんであるバイクの後ろ座席のステップが降りているのに気付いたのだろう。</p>

<p>　「どうして嘘つくの？どうして元カノとは会う時間があるのに私とは...。」</p>

<p>　電話口で興奮気味に話しながら、理子ちゃんはたぶん涙を流していたと思う。<br />
ときどき鼻をすする音が聞こえる。</p>

<p>　僕はといえば、いいわけも弁解も何の発言すらできずにただ携帯を握りしめているだけだったのだ。<br />
　理子ちゃんは、今まで溜めていた僕への不満すべてを言いつくして電話を切った。</p>

<p>　僕はただ呆然とソファーに座っているだけ......。</p>

<p><br />
　元カノは、今付き合っている人と結婚をするそうだ。<br />
　元カノが僕の前にあらわれたのは、今の婚約者との結婚式の準備がなかなか進まなくて、マリッジブルーに陥っていたから。<br />
　<br />
　「ちょっと会いたくなってね。」</p>

<p>　という元カノは、単なる愚痴を僕に言いに来た。<br />
　<br />
　「だってね、仕事ばっかりで式の準備は私に任せっぱなしなんだよ！！」</p>

<p>　愚痴を言いつつも、彼女の笑顔が"幸せ"で満ち溢れている。<br />
　もちろん、僕はその愚痴を聞いてあげて、結婚を祝福した。<br />
　女性というものは、こういう愚痴を元カレに言いたがるものなのか、はたまた結婚前に元カレに会いたくなる習性があるものかわからないけど、これもマリッジブルーのせいなんだろう。<br />
　さんざん話した揚句、"ストレス解消に"とバイクの後ろに乗せて走ることを提案したのは僕。<br />
　少し後ろめたい気持ちもあったが、元カノを後ろに乗せて、レインボーブリッジまで走った後家まで送った。</p>

<p>　たったそれだけ。<br />
　それ以上のことは何一つないのだが、これが大きな火種となってしまった。</p>

<p>　僕は別に、元カノに会ったことに抵抗はなかった。<br />
　もちろん、元カノに恋愛感情はないし、あっさりとしたもんだ。<br />
　それが草食男子の特徴なのかわからないが、僕は抵抗なく会える。<br />
　だから、元カノに会ったことも理子ちゃんに言った。<br />
　黙っているよりは...と思ったのだが、その結果がこれだ。<br />
　<br />
　もちろん嘘をついていたことは僕が悪い。<br />
　もしかすると、会ったことを言わなければ、元カノをバイクに乗せたことを理子ちゃんが勘づかないで済んだかもしれない。</p>

<p>　良かれと思ってついた嘘があだになるとは...。<br />
　後悔してもしきれなかった。</p>

<p><br />
　<br />
　翌日に届いた彼女からのメール。</p>

<p><br />
　『拓朗君は優しいと言われると思う。でもその優しさは、人を傷つけることだってあるんだから。もう私たちダメだと思う......』</p>

<p><br />
　この文章を最後に、僕にまさかの『別れ』がやってきた。</p>

<p>　<br />
　僕がサッカーに夢中になって、理子ちゃんとの時間をおろそかにしていたこと。<br />
　元彼女とのことを嘘をついていたこと。</p>

<p>　この『別れ』となった原因はすべて僕にあって、理子ちゃんは何一つ悪くない。<br />
　今まで、理子ちゃんから送られていたサインを</p>

<p>「しょうがない。」</p>

<p>　のひと言で済ませていたのは僕だ。</p>

<p>　もっと早く彼女のサインに気付くべきだったのに...。<br />
彼女を泣かせてしまった自分に情けなく、言葉が足りなかったことを悔やみながら、でも彼女の気持ちがもう取り戻せないことを、僕は悟った。</p>

<p></p>

<p><br />
</p>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>第８話　熱すぎた夜</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://kon-katsu.jp/novel/01/08.html" />
    <id>tag:kon-katsu.jp,2010:/novel/01//75.863</id>

    <published>2010-03-17T11:31:00Z</published>
    <updated>2010-03-17T11:32:00Z</updated>

    <summary>初めて夜を共にした元木と理子。理子の積極的な行動に、少し救われた元木。元木は理子との「将来」を考え出すのだった。</summary>
    <author>
        <name>小木曽　由加理</name>
        
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://kon-katsu.jp/novel/01/">
        <![CDATA[<p>　「きれいにしてるんだねー。うんうん。拓朗くんっぽい。」</p>

<p>　僕の家に入った理子ちゃんの第一声。<br />
　お泊りするつもりで今日のデートに来ていたなんて、僕からはとても想像できないような積極的な子だ。</p>

<p>　「僕らしいって？」<br />
　「うん。だってさ、拓朗君几帳面だから、きっと家もきれいだろうなぁって思って。それにね、急に行くなんて言ったら、男の人ってみんな慌てるもんじゃない？」<br />
　「う、うん...。」</p>

<p>　みんな...って、そんなに理子ちゃんは恋愛経験が豊富なのか？なんて思いながら、暖房のスイッチを入れた。</p>

<p>　「今コーヒー入れるから。」</p>

<p>　僕がキッチンに行っている間、理子ちゃんは壁の写真にくいついている。</p>

<p>　「これが、今のチーム？」<br />
　「うん。もう４年くらい経つかな。」<br />
　「へー。格好いいねっ。」</p>

<p>　理子ちゃんは、僕のサッカーチームの写真を見ながら、１人でごにょごにょとつぶやいている。</p>

<p>　「試合とかあったら応援行くからね！」</p>

<p>　こんなきれいな彼女が僕にできたと知ったら、仲間や後輩たちは驚くだろうな。<br />
　狭いワンルームの部屋はあっという間に暖かくなり、なんだか暑すぎるくらいに感じる。</p>

<p>　「暑すぎない？」<br />
　「ううん。大丈夫だよ。」</p>

<p>　どうやら、暑すぎると感じるのは僕だけのようだ。<br />
　理子ちゃんがお泊りするなんて言うもんだから、突然のことで体が緊張しているんだろう。<br />
　<br />
　そういえば...、初対面の『二次会』の時に、理子ちゃんがあらわれた瞬間も同じような状況だった。<br />
　一目ぼれなのか、ビビビと電流が走った僕の体は、うっすらと汗をかくくらいに熱くなったことを思い出した。<br />
　ついこの間のことなのに、今はこうして同じ部屋にいるなんて...。<br />
　今までの恋愛、そして普段の僕の行動からは随分とかけ離れたシチュエーションで、まるで夢のようだった。<br />
　それもこれも、こんなに積極的な理子ちゃんのおかげ...。<br />
　情けないけど、事実だ。<br />
　依然として、僕の『防衛ランプ』は反応してしまう。<br />
　これは初めて会った時から変わらない。<br />
　彼女のあまりの積極さに、今までの恋愛同様自分が痛い目にあってしまうのでは？と頭をよぎるのだ。<br />
　しかし、僕はだんだんとこの『防衛ランプ』に反撃している。<br />
　<br />
　いくらランプが反応したって、もう僕の心は変わらない！と。</p>

<p>　「拓朗君って、サッカーの話ししているとすっごくイキイキしてるね」<br />
　「あっごめん...。ほんとサッカーしかして来なかったからね。」<br />
　「ううん。謝らないで。何かに没頭するのってすごくいいことだと思うよ。」</p>

<p>　没頭しすぎて、恋愛にも奥手になったんだけど...ね。</p>

<p>　僕は自宅に帰ってきたにも関わらずに、なんだか落ち着かない。<br />
　だって、今夜は理子ちゃんが泊まるんだよ...。<br />
　あまりにも予定外すぎて、どう接していいのやら...。</p>

<p>　「ねぇ...。もう寝る？」</p>

<p>　時計ももうすぐ１２時を過ぎるという頃、やっとの思いでこの言葉を発した。</p>

<p>「うん...。私髪の毛洗いたい。」<br />
「あっそうだよね。お風呂こっち。」<br />
「ありがと。拓朗君...。なんか着るもの貸してもらえる？」<br />
「あっ、ジャージでいい？大きいかも知れないけど...。」</p>

<p>　理子ちゃんが風呂に入っている間、大きくため息をついた。<br />
　さてさて、付き合いを申し込むことが一番の目的だった今日、晴れて僕の彼女となった理子ちゃんは僕の部屋で今風呂に入っている。<br />
　あまりにも急展開過ぎないか？<br />
　それとも物事には勢いが大切なのか...。<br />
　いくら考えたって、状況が解決するわけでもないんだけど...。</p>

<p>「へへっ。さすがに大きいねぇ。」</p>

<p>　風呂上がりの理子ちゃんは、僕の大きなジャージに包まれるようにして出てきた。<br />
　そんな姿がとてもかわいらしい。</p>

<p>　僕が風呂からあがると、ＤＶＤを見ることになった。</p>

<p>「こないだの映画思い出すね。」</p>

<p>　僕は普段も部屋を映画館のように暗くしてＤＶＤを見るので、理子ちゃんは映画デートを思い出したようだ。<br />
　ソファーに座りながら、あの時と同じように手をつなぐ僕たち。<br />
　正直言って僕の心は、ＤＶＤの内容どころじゃなかった。<br />
　一本のＤＶＤが終わった。<br />
　さすがにもう一本...はないよな。</p>

<p>「寝ようか...。」<br />
「うん。」</p>

<p>　お互い照れているのが手に取るようにわかるくらい、ベッドに入った後も２人ともどうでもいいことを話している。<br />
　でも僕の腕枕に伝わってくる彼女のぬくもりが嬉しかった。</p>

<p>「ごめんね。理子ちゃん。」<br />
「何が？」<br />
「僕がなかなか付き合おうって言わなかったから、焦ったんでしょ？」<br />
「.........う、うん。だって...。」<br />
「だって？」<br />
「私と拓朗君の関係ってなんなんだろう...って思ったら...。」<br />
「だよね。ごめん。でも、理子ちゃんの事別にどうでもいいって思ってたわけじゃないし、初めて会った時から、僕の気持ちは変わらないよ。」<br />
「うん。」<br />
「だから、今日付き合おうって言ったんだから。」</p>

<p>　そう言ったとたん、彼女が急に僕の唇にキスをした。</p>

<p></p>

<p><br />
　翌朝、僕は理子ちゃんよりも早く目を覚ました。<br />
　理子ちゃんは僕のとなりで、心地よさそうに寝息を立てている。</p>

<p>　昨夜僕は、彼女に腕枕をしてそのまま眠りについてもいいと思っていた。<br />
　理子ちゃんが彼女になっただけで満足だったから。<br />
　しかし、彼女のキスをきっかけに僕たちは一つになった。<br />
　僕が襲ったというよりも、襲われたと表現した方が正しいかもしれない。<br />
　でも彼女をこんなに焦らせてしまったのも、僕が原因なんだろう。<br />
　デートを重ねてもなかなか行動にうつさなかったから。</p>

<p>　僕にとったらこんな積極的な女の子は初めてだけど、彼女のとの出逢いが、今までの僕をいろいろと変えさせて、そして結婚というひとつのゴールへと動き出した。<br />
　寝ている彼女の髪の毛をなでながら、確実にそう思った。</p>

<p><br />
　そう思っていたはずなのに...。</p>

<p><br />
</p>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>第７話　&quot;うわて&quot;な彼女</title>
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    <published>2010-03-10T03:12:00Z</published>
    <updated>2010-03-10T03:13:04Z</updated>

    <summary>正式に恋人同士になった元木と理子。彼女の積極的な性格のおかげで、初めての「お泊り」と進展していった二人だった。</summary>
    <author>
        <name>小木曽　由加理</name>
        
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://kon-katsu.jp/novel/01/">
        <![CDATA[<p>　「理子ちゃん。知り合って間もないけど、こんな僕と付き合ってくれる？」</p>

<p>　僕はこのセリフを言うために、今日のデートをセッティングした。<br />
　<br />
　毎日会っていて、手をつないで歩く僕たちをはたから見れば、きっと「付き合っている２人」に見えるだろう。<br />
　最近では、決定打がないままにいつの間にか『付き合っている』というカップルが多いのも確か。<br />
　でも僕は、こういうことはきっちりとさせたかった。<br />
　それに、女の子ってこういうことにはきっとこだわるんだろうと思っている。<br />
　男の中では、『そんなことにこだわるなよ...』なんていうやつもいるけれど、これは２人にとってとても大切なことだと思う。<br />
　あやふやなまま接してはいけないと思っているし、自分の気持ちをきっちりと伝えなくてはならない。<br />
　これは、僕が女の子に対する気持ちで、昔から変わらない。<br />
　<br />
　実はこんな性格の僕を『女々しい』なんていう女の子もいて、そんな時は自分を変えようかとも思ったこともあるけれど、それじゃあ本当の僕じゃないということも気づいた。</p>

<p>　この僕の真剣な気持ちを、きっちりと理子ちゃんに伝えたかったから......。</p>

<p></p>

<p>　てっぺんを超えた観覧車の中の僕たちは、しばらく黙りこんだままだったけど、理子ちゃんの一声で明るいものになった。</p>

<p>「よかった。ジェットコースターで気分悪くなっちゃったのかと思ってたから。」</p>

<p>　どうやら緊張していた僕は、いつの間にか口数が少なくなっていたらしい。</p>

<p>　「そんなことないよ。今日言おう！って思ってたから......、緊張してたのかな？」<br />
「それなら、よかった！」</p>

<p>　そう言って無邪気な笑顔の理子ちゃんが、急に立ち上がって向かい側の席に座った。<br />
　ゴンドラが揺れる。<br />
　絶叫系が苦手な僕は、ゴンドラの揺れも苦手なわけで...、勘弁してくれよ...。</p>

<p>「へへー。ちょっと意地悪しちゃった。」<br />
「さっき、怖いからこっちに座るって言ってたんじゃん。」</p>

<p>　僕はそう言うと、再び理子ちゃんの隣へと移った。<br />
　そしてまた軽く唇にキス...。</p>

<p>　僕たちは、晴れてカップルとなった。</p>

<p></p>

<p>「ねえ。いつから私の事気になってた？」</p>

<p>　夕食を食べている時に突然こんなこと言いだすもんだから、食べていたものがのどに詰まりそうだった。</p>

<p>「えっ？いつからって？」</p>

<p>そりゃあね...いつからって...。</p>

<p>「理子ちゃんは？」</p>

<p>　照れから思わず聞き返してしまった僕。</p>

<p>「私はねぇ、初めて会った時にこの人いい感じの人だなって思ったの。」<br />
「マジで？」</p>

<p>　僕は意外だった。</p>

<p>「ほんとだよ。拓朗君は？」<br />
「実は...僕も。初めて会った時に一目ぼれというか...。」</p>

<p>　だんだんと声が小さくなってしまったけど、ここは男らしくひとつ。</p>

<p>「ちょっと古いかもしれないけど、"ビビビ"ときたんだよね。」</p>

<p>　言ってる僕も恥ずかしかったけど、理子ちゃんは顔を赤らめて目をまんまるくしている。</p>

<p>「そんなに...驚いた？」<br />
「うん...。だって拓朗君さ、三次会来なかったじゃない。その時にね、"あ～この人は私の事を何にも気に留めてないんだな"って思ったの。」<br />
「うそっ。僕の方こそ、理子ちゃん嬉しそうに三次会に行ったし"僕は気にされてないな"って思いながら、三次会行けば良かったって後悔したんだから。」</p>

<p>　お互いの想いが同じだったということで、もう僕たちは笑うしかない。<br />
　<br />
　そして気持ちというものは言葉にして伝えなければいけないというものを痛感した。<br />
　<br />
　あの時は、翌日に理子ちゃんが銀行に来てくれたからよかったけど...、もし理子ちゃんが押しの弱い子で...、銀行に来ることもなく"自分は気にされていない"と思ったまま時が過ぎていたら...。<br />
　もしかしたら、今の２人はなかったかもしれない。<br />
　もしかしたら...。<br />
　そう思ったら、理子ちゃんが積極的な子でよかったと思った。</p>

<p>　僕自身、彼女に"ビビビ"ときたのは事実だけど、彼女の押しやこの独特のペースを知らないままだったら、本当に恋愛に発展しなかったのかと思うと、ぞっとしながら夕食を口にしていた。</p>

<p>　いつものように理子ちゃんを駅まで送るつもりだった。<br />
　今日はずっと一緒にいたし、今日の目標も無事に果たせた。</p>

<p>　でもどうも、理子ちゃんの様子がおかしい。<br />
　というかいつものように機嫌が悪くなった。</p>

<p>「どうした？」</p>

<p>　僕はとぼけて聞いてみた。<br />
　理子ちゃんは黙っている。</p>

<p>「どうしたの？」</p>

<p>　まだ、黙ってる。</p>

<p>「どおしたの？ったら！！」</p>

<p>　僕は彼女のわき腹をくすぐって、ふくれっ面を笑顔にと変えさせた。</p>

<p>「だって...。」</p>

<p>　わかっている。<br />
　彼女は帰りたくないのだ。<br />
　帰る時にはいつもそうだから。<br />
　そんな風に思ってくれるなんて、とても嬉しいけど...、実家住まいだしね...。</p>

<p>「帰りたくないの？」</p>

<p>　彼女がうなずく。</p>

<p>「でもお父さんとお母さん心配するよ。」<br />
「大丈夫。」<br />
「大丈夫じゃないでしょ...。」<br />
「言ってきたから...。」<br />
「えっ？」<br />
「今日はね、友達と遊びに行くって言ってきて...、そして友達の家に泊まるって言ってきた...。」</p>

<p>　......ということは、理子ちゃんは今日お泊り覚悟で来ていたと...。</p>

<p>　まさか...の展開だ。<br />
　やっぱり理子ちゃんは積極的な女の子...だよな。<br />
　<br />
　「ダメ？」</p>

<p>　そんな上目づかいで見られたら...ダメとも言えない。<br />
　というか、ダメという理由もないわけだけど...。<br />
　<br />
　「ダメ...じゃないけど、びっくりした。」<br />
　<br />
　つい本音を言ってしまうのが僕の長所なのか短所なのか...。</p>

<p>　「へへっ。」</p>

<p>　いたずらっぽく笑う彼女の手を取り、僕は自宅へと向かった。</p>

<p></p>

<p><br />
</p>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>第６話　決断の時</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://kon-katsu.jp/novel/01/06.html" />
    <id>tag:kon-katsu.jp,2010:/novel/01//75.860</id>

    <published>2010-03-03T06:54:00Z</published>
    <updated>2010-03-03T06:57:21Z</updated>

    <summary>ようやく進展し始めた元木と理子。お互いを大切に思うあまりに、ゆっくりとお互いの関係を始めている。遊園地デートに行ったとき、観覧車ではじめてのキスをする。そして、「付き合ってくれ」と元木の言葉。ゆっくりでも着実に、２人の関係をスタートし始めた２人だった。</summary>
    <author>
        <name>小木曽　由加理</name>
        
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://kon-katsu.jp/novel/01/">
        <![CDATA[<p>　二度目のデートとなった『映画デート』の日。<br />
　結局僕は、食事を一緒にして、彼女を駅まで送った。<br />
　翌日仕事だったということ、それに、初めて手をつないでそれ以上のことは望まなかったから。</p>

<p>　というのは、半分嘘。<br />
　本当は、もっとずっと一緒にいたかったけれど、大切な時間は少しずつ刻みたい。<br />
　それが僕の本心だった。</p>

<p><br />
　実は、あのデート以来、僕たちはほとんど毎日会っている。</p>

<p>　仕事中に理子ちゃんが銀行に顔を出してくれたり、お互い仕事が終わってからのわずかな時間を一緒過ごしているのだ。<br />
　そのうちのほとんどが一緒にご飯を食べて、しばらくどこかをぶらついて駅へと送る。<br />
　このパターンの繰り返し。<br />
　<br />
　ところが、帰る時間になると理子ちゃんの機嫌が少し悪くなる。<br />
　おそらく......、うぬぼれじゃないけど彼女は帰りたくないのだろう。<br />
　もしくは、手をつないで以来、僕が何も行動を起こさないので、嫌気がさしている...とか。</p>

<p>　どちらにしても、僕はそろそろ行動を起こさなくてはいけない。</p>

<p>　そんなことを考えていた金曜日。<br />
　僕はある決断をした。</p>

<p>　「明日は中華街にランチに行こう！」</p>

<p>　そんなメールを仕事中に送った。</p>

<p>　「長崎の？」<br />
　「なわけないじゃん！」<br />
　「ふふ。そうだよね。中華楽しみっ！」</p>

<p>　理子ちゃんって、あんな顔して結構ボケをかますことが多い。<br />
　それは計算だったり、天然だったり...。<br />
　そんな彼女にいつも笑わされてばかりの僕だった。</p>

<p>　そしてメールの最後に書かれていた一文が、僕の『決断』をより一層強いものにさせたのだ。</p>

<p>　「今日のメール嬉しかったです。だって...いつも"行かない？"とか"どう？"って聞かれることが多かったから。でも今日は"行こう！"って言葉がとっても嬉しかったんです！」</p>

<p></p>

<p></p>

<p>　土曜日。<br />
　いつものように駅で待ち合わせた僕たちは、横浜へと向かった。<br />
　理子ちゃんは、片手に横浜のガイド本を持っている。</p>

<p>　「あのね、中華街だって思ったら嬉しくなっちゃって、お昼休みに本屋さんに行ったんだ。」</p>

<p>　僕だったら、きっと家でこっそりガイド本見て研究して、デートで格好よく案内する手段を選ぶだろう。<br />
　しかし、理子ちゃんは違う。<br />
　恥ずかしいだとか、そんなことは気にせずに、今を楽しむ。<br />
　これが、僕には持っていない理子ちゃんのいいところだ、と思った。</p>

<p>　「第一候補はね、このお店！」</p>

<p>　いつもそうなんだけど、理子ちゃんがいろいろと決めて引っ張ってくれるので、本当に楽だ。<br />
　でも！<br />
引っ張られてばかりというわけではない。<br />
　今日こそは！<br />
　男らしい一面を見せてやるんだ！</p>

<p><br />
　理子ちゃん第一候補のそのお店はすごく美味しかった。<br />
その後も、買い物したり、ぶたまんを半分ずつ食べながら歩いたり...と、異国情緒包まれる空間であっという間に何時間も過ごした。</p>

<p>　サッカー仲間と来る中華街は、どかっと食べておしまい。<br />
　何回も着たことのある中華街だけど、理子ちゃんと一緒だったら全く違う空間に生まれ変わるから不思議だ。<br />
　これもまた『恋愛マジック』なんだろうな。</p>

<p>　中華街を満喫した僕たちは、コスモワールドに行くことになった。</p>

<p>　「遊園地なんて何年ぶりかな...。」<br />
　「ウキウキするねっ。ジェットコースターとか好き？」<br />
　「あ...ちょっと苦手かな...。」</p>

<p>　あー。こういう時に草食系男子の部分が出てしまうのだろうか。</p>

<p>　「えー。私大好きなんだけどなー。一人で乗りたくなぁい。」</p>

<p>　ふくれっ面になりながら、何か言いたげに見つめる理子ちゃん。</p>

<p>　「い、一緒に乗る...よ。」<br />
　「いぇーいっ。」</p>

<p>　はー。よりによって、ジェットコースターに乗るはめになるとは...。</p>

<p>　</p>

<p>　ジェットコースター、お化け屋敷、３Ｄシアター。<br />
　理子ちゃんは疲れを知らず、右に左にと足を運ぶ。<br />
　僕も体力だけはあるつもりだったけど...、ジェットコースターにかなりの体力を奪われたようで、少し疲れ気味。</p>

<p><br />
　冬の一日は、陽がかげるのも早くて、夕方の横浜はあちこちがライトアップされて、すっかりいい雰囲気になった。</p>

<p>　「観覧車乗ろうよ。」</p>

<p>　僕が彼女を観覧車に誘ったのは意味がある。<br />
　今日一日、この観覧車のために過ごしたようなものだ。</p>

<p>　「ねえねえ。透明なやつがあるんだって！あれにしない？」</p>

<p>　シースルーコンドラ？いやいや駄目だろう。<br />
　あんなのに乗ったら、今日の計画が台無し...。<br />
　なんと言って回避するか...。</p>

<p>　「いや、あれはやばいんじゃない？下からスカートの中見られるよ。」</p>

<p>　言った瞬間、ちょっと親父くさい文句だと失敗した！と思ったけど</p>

<p>　「あっ、そうだ。それはやだー。じゃあ、今度スカートじゃない時に乗ろうね。」</p>

<p>　案外すんなり受け入れられた。</p>

<p></p>

<p>　少し列に並んだあと、僕たちが乗るゴンドラのドアが開けられた。</p>

<p>　「きゃー。ドキドキする。」</p>

<p>　そう言いながら、向かい合わせに座るのかと思ったら、理子ちゃんは僕のとなりへ。</p>

<p>　「なんか傾いてるけど...。」<br />
　「だって１人は怖いもん。」</p>

<p>　だよねぇ......。</p>

<p>　「確かこれって世界一じゃなかった？」<br />
　「うそ？」<br />
　「うん。ギネスに登録されたはず。あ、でもどこかに超されたかなぁ。」<br />
　「結構高いもんねー。今４分の１だよ！」</p>

<p>　もうすぐてっぺんだというのに、理子ちゃんのおしゃべりはなかなか止まらない。</p>

<p>　「あっちかなぁ。ディズニーランド。」</p>

<p>　海を見ながらそう言っている理子ちゃんが振り向いた瞬間、僕はそっとキスをした。<br />
　突然のことでびっくりしていた彼女が急に黙り込む。<br />
　<br />
　「理子ちゃん。知り合って間もないけど、こんな僕と付き合ってくれる？」</p>

<p>　そう。<br />
　僕は、彼女にまだ付き合おうという言葉を伝えていなかったのだ。<br />
　<br />
　さっきまであんなにおしゃべりしていた彼女が、黙ったまま『コクッ』とうなづいた。</p>

<p>　「ディズニーランドに一緒に行こうね。」</p>

<p>　僕がそう言うと、顔を上げてにこりと笑った。</p>

<p>　ジェットコースターで奪われた体力も、僕の決断を実行してオッケーをもらったことで、すっかり取り戻したようだった。<br />
　<br />
　二次会での出逢いを『キッカケ』に、この僕たちの新しい道が始まったのだ。</p>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>第５話　自然な流れ</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://kon-katsu.jp/novel/01/05.html" />
    <id>tag:kon-katsu.jp,2010:/novel/01//75.858</id>

    <published>2010-02-24T11:34:00Z</published>
    <updated>2010-02-24T11:34:58Z</updated>

    <summary>２回目のデートで映画館に行った元木と理子。そこでちょっとしたハプニングが起こり、初めて手を繋ぐことになる。元木はあらためて理子への感情を確認。そして、本当にこの恋愛を実らせたいと思ったのだった。</summary>
    <author>
        <name>小木曽　由加理</name>
        
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://kon-katsu.jp/novel/01/">
        <![CDATA[<p>　約束の時間は、１０時。<br />
　理子さんを二度目のデートを誘った僕は、一週間前に初めて出逢った理子さんを、今日一日独占するつもりだった。<br />
　待ち合わせの駅で、たばこをふかしながら待っていた時のこと。<br />
　時間の五分まえに彼女はあらわれた。</p>

<p>「おはようございます。」<br />
「お、おはよ。」</p>

<p>　結婚式の時の装いとはまた違い、こないだのプリクラデートの時とはまた違う雰囲気の、ワンピース姿の彼女に、胸の鼓動が高鳴った。<br />
　確実に、会うたびに僕の彼女への思いは急上昇しているようだ。</p>

<p>「時間大丈夫かな...。」</p>

<p>　理子さんが僕の少し後ろを足早に歩きながら、時計を気にしている。</p>

<p>「大丈夫だよ。もし間に合わなかったら、ひとつ後を見ればいいんだし。」</p>

<p>　実は今日のデートは、映画。<br />
　定番のデートだが、こないだ話していた時に、お互い見たい映画が同じということが判明。<br />
　しかもディズニー映画。<br />
　僕はこう見えてもディズニー好きで、最近のディズニー映画も欠かさず見ている。<br />
　またタイミングのいいことに、理子さんもディズニーが好きらしい。<br />
　そうなりゃ、この映画は２人で行くしかないでしょ！！</p>

<p>「今日は人が多いですねぇ。」</p>

<p>　確かに...。<br />
　日曜日のディズニー映画ときたら、周りは家族連れや学生、カップルで賑わっている。<br />
　もしラブストーリーの映画だったら、上映中も終わった後もストーリーにつられてドキドキ感が得られそうだけど、ディズニーだったら雰囲気なんかありゃしない。<br />
　ちょっと映画の選択間違ったかな。<br />
　いや、２人とも好きなディズニー映画にして、きっと間違っていなかったのだろう。<br />
　なんて、自分に言い聞かしてみる。</p>

<p>「やっぱ映画にはポップコーンだよね！」</p>

<p>　と意見が合ったものの、それを買うための行列もすごい...。</p>

<p>「なんだかディズニーランドみたい。」</p>

<p>　なんて笑いながら、彼女はこの行列さえも楽しんでくれているようだった。<br />
　上映開始が迫っているという人もちらほらいるようで、行列に並んでいる人もなんだか押したり押されたり...。<br />
　子供がどこかで泣いていたりと、かなりごったがえしていたその時だった。<br />
　<br />
　後ろの誰かが押したのだろうか。<br />
　列全体がぐぐっと前に動くくらい後ろから押されて、僕たち２人も前の人に軽くぶつかってしまった。<br />
　将棋倒しにならなかったのが幸いだったが、あまりにごった返していたので、僕は理子さんの手をふと取った。</p>

<p>　はぐれないように...。<br />
　純粋に僕はこう思った。</p>

<p>　このちょっとしたハプニングは、僕に「理子さんと手を繋ぐ」というきっかけを与えてくれた。<br />
　僕は何も言わず彼女の顔を見て、ただ微笑んだ。<br />
　彼女もとっさの事に驚きながらも、嫌がる様子もなく手を繋いでいてくれた。</p>

<p>「私持つね。」</p>

<p>　ポップコーンとジュースのトレーを彼女が受け取ったら、手を繋ぐことができなかったのがちょっとがっかりだったけど、人とぶつかってトレーを落とすことのないように、人ごみを避けながら少し彼女の肩を抱き寄せるように席に誘導した。</p>

<p>　席についてからも彼女の方から僕の手を取ってくれて、映画の間中ほとんど手を繋いで過ごした僕たち。<br />
　たとえ何かの拍子に手がほどけたとしても、また自然に繋ぎなおす。<br />
　この自然なタイミングが僕の心をますます彼女へと引き寄せるのだった。</p>

<p>　映画が終わってからも、僕たちの手が離れることはほとんどなかった。<br />
　映画館併設のショッピングモールで買い物を楽しんでいる間も、電車で移動する時も...。<br />
　きっと周りから見たら、立派なカップルに見えるだろう。</p>

<p>　一般的に『草食男子』と呼ばれる僕。<br />
　性格的にも、なかなか女性に積極的にはなれないが彼女といるととても楽だ。<br />
　それは、彼女が僕を引っ張って行動してくれることが多いから。</p>

<p>「今度はあのお店に入ろう。」<br />
「ちょっとお茶しよっ。」</p>

<p>　という具合に。</p>

<p>　僕が</p>

<p>（どこに連れて行ったらいいだろう...）<br />
　<br />
　なんて気を遣って考える必要がないのだ。<br />
　『グイグイと』という表現まではいかないが、ちょっと僕の手を引っ張り気味に連れて行ってくれる感じ。</p>

<p>　実は僕は『私が私が！』的な主導的な女性は苦手なはずだった。<br />
　しかし、理子さんはそんな女性と同じようでどこかが違う。<br />
　それなりに自分を主張してくるけれど、どこか一歩ひいてくれる。<br />
　その間合いが、実に心地よいのだ。<br />
　人との波長が合うって、こんなことを指すのかもしれない。</p>

<p>　日もすっかり暮れた頃、僕は彼女に聞いた。</p>

<p>　「時間まだ大丈夫？」</p>

<p>　と。<br />
　彼女は実家暮らしだから、きちんと聞いておかなければな...と思っての質問。</p>

<p>　「きちんとしてるんですね。」<br />
　「えっ？何が？」</p>

<p>　と、とぼけたものの、まだ夕食も食べていない時間に時間を気にするなんて...、子供扱いしたと思われたかなと一瞬焦る。</p>

<p>　「だって...。私が実家だからでしょ？なかなかそんなことに気付いて聞いてくれる男性っていないですよ。」<br />
　「あっ...そう？そんなもんかな。ごめんごめん。気に障った？」<br />
　「そんなっ全然！気にしてくれてとっても嬉しい。」</p>

<p>　彼女は繋いでいる手をぎゅっと強く握りなおし、僕に笑顔を見せた。</p>

<p>　本当は...、本当はここでキスをしたかった。<br />
　世の中の男たちは、このタイミングでキスをするかもしれない。</p>

<p>　しかし...、僕にはできなかった。<br />
　記念になるものだから...、もっといいタイミングまで取っておいたほうがいい、本能からかそう思ったのだ。</p>

<p>　こんな僕の行動が、今までの女性たちにとったら嫌だったのかもしれない。<br />
　『男らしくない』とか『優しすぎる』とか言われた原因はこれだろう。</p>

<p>　しかし、僕はそんな人間だ。<br />
　僕は僕の考えで、この恋愛を実らせる。<br />
　下手に自分らしくない行動を取って彼女に嘘の自分を見せたくない。<br />
　<br />
　ありのままの僕で勝負するのだ。</p>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>第４話　まさかのツーショット写真</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://kon-katsu.jp/novel/01/04.html" />
    <id>tag:kon-katsu.jp,2010:/novel/01//75.852</id>

    <published>2010-02-17T00:52:19Z</published>
    <updated>2010-02-17T10:24:22Z</updated>

    <summary>初めてのデートを理子と楽しむ元木。どこに行けばいいかわからず誘った場所はゲームセンターだった。そこで、ゲームセンターが意外にデートで使える場所だということに気づく。ゲーセンデートで元木に渡されたプレゼント。それが、プリクラで撮った理子とのツーショット写真だった。</summary>
    <author>
        <name>小木曽　由加理</name>
        
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://kon-katsu.jp/novel/01/">
        <![CDATA[<p>　不意打ちという言葉は、こういう時に使うものだろう。</p>

<p>　理子さんからの連絡が携帯に来るだろうと思っていた僕は、まさか彼女が後ろに立っているとは思いもしなかった。</p>

<p>「ごめんなさい。だいぶ待ったんじゃないですか？」<br />
「いえ。さっき来たとこです。」</p>

<p>　って...、だいぶ待ちました！なんて言えないよな。</p>

<p>「ねえ。どこに行きます？」</p>

<p>　あの結婚式二次会の出逢い以来、今日の昼に再会しただけというのに、ランチに誘われるは、こうして夜に会う約束も取り付けるわと、完全に理子さんのペースにはまっている。<br />
　本当は僕が格好良く誘うべきだったのに...。</p>

<p>　どこに行くかと聞かれた僕は、ようやく自分のペースで理子さんを案内することとなった。</p>

<p>　とはいえ......</p>

<p>　こんな時に女性はどこに行きたいものなのか？<br />
　なんせ３年もデートすらしたことなかった身分なので、思ってもみなかった突然のシチュエーションにとまどう。</p>

<p>　お茶？<br />
　いやいや。<br />
　お互い、今食事を済ませたとこだ。<br />
　飲みに行く？<br />
　いやいやいや。<br />
　しょっぱなから、飲みとはいかがなものか...。<br />
　短時間だったけどいろいろなことが頭をよぎった結果、僕が言った言葉。</p>

<p>「ゲームセンターとかどうですか？」</p>

<p>　そう言ったものの、僕の心には"やってしまった感"があった。<br />
　よりによって、ゲームセンターって...。<br />
　僕自身そんなにしょっちゅう行く場所でもないのに。<br />
　僕は世間的には「草食男子」かもしれないけど、別にゲーマーでもなく、おたくでもない。<br />
　でもゲームセンターに誘われた女性にはそう映ってしまうかもしれない。</p>

<p>　しかし、後悔した僕の心とは裏腹に</p>

<p>「あっ。いいですねっ。行きましょう！！」</p>

<p>　と言ってくれた。</p>

<p>（これでよかった？）<br />
　<br />
　半信半疑ではあったものの、少し歩いたところのゲームセンターに行くことになった。</p>

<p>「わー。ゲームセンターなんて久しぶり～。」<br />
「僕もです。あまり来ないもので。」</p>

<p>　何気なくゲーマーじゃないことを主張。</p>

<p>「私ゲームって下手なんです。あっ、こんなのだったら、何度かしたことがありますよ。」</p>

<p>　そう言って理子さんが指差すのは、レーシングゲーム。<br />
　よくあるカートゲームだ。</p>

<p>「してみます？」<br />
「うんっ。対戦しましょうよ。」</p>

<p>　時に見せる子供のようなとっても無邪気な笑顔に、僕も心が弾んだ。</p>

<p>「負けませんからね。」</p>

<p>　そう意気込んだ理子さん。<br />
　きゃーきゃーとハンドルを切るたびに歓声を上げながらゲームをする彼女の隣で、僕はなんとしてでも理子さんと付き合いたいという思いを再確認した。<br />
　<br />
「えー。私ビリだって...。」</p>

<p>　ゲームを終えた彼女が、本気で落ち込む姿も可愛らしい。<br />
　そういう僕も、大人げなくゲームに本気になって、彼女にわざと負けることなんて頭になかったけど...。</p>

<p><br />
　ふと、女子高生たちがプリクラを切り分けている姿が目に入った。</p>

<p>「元木さん、知ってます？最近のプリクラってものすごく高性能なんですよ。」<br />
「へー。」<br />
　<br />
　僕は、この時に気づいた。<br />
　ゲームセンターという場所は、なんといっても音がうるさい。<br />
　となると、このゲームセンター内で話す時には、自然と顔が近づいてしまうということを。<br />
　つまり僕たちは、会話を交わすたびに顔を近づけて話しているというわけだ。<br />
　ゲームセンターを選んでよかった、なんて今更ながら思った。</p>

<p>「美白モードは当たり前だし、びっくりするくらい写りがいいんですから！」<br />
　<br />
　彼女はまだ、プリクラについて熱く語っている。</p>

<p>「ほー。じゃあ、撮ってみる？」</p>

<p>　よく言った！僕にしてはかなり積極的な行動。<br />
　<br />
　そう。<br />
　今までの僕みたいに奥手なままでは、きっと理子さんは手に入らない。<br />
　この恋を逃がすまいという本能が、今の僕の行動を操っているかのようだった。<br />
　<br />
「えっ！？」</p>

<p>　えっ！？って、いきなりプリクラ撮ろうって言ったら、女性から引かれるものなのか？<br />
　ひきつったと思われる僕の表情は、理子さんの言葉のおかげで一瞬だけのものとなった。</p>

<p>「えっ！？......一緒に撮ってくれるんですか？」<br />
「せっかくだから撮りましょうよ。」<br />
「やったー。」</p>

<p>　こないだの番号交換の時といえ、理子さんはかなり積極的なようで、遠慮がちな面も持ち合わせている。<br />
　ちょっと謎めいているけれど、実はそんな謎めいた部分も魅かれる理由の一つだ。</p>

<p>　慣れた手つきでプリクラの機械を操作する姿を、僕は何もせずに、いや何もできずに待っているだけ。<br />
　そして仕上がった写真に書いてあった言葉。</p>

<p></p>

<p>『初デート記念！』</p>

<p></p>

<p>　僕はこの言葉が心から嬉しかった。</p>

<p>　どうしてもモノにしたいこの恋。<br />
　うまくいくかもしれない、と期待するのはまだ早いのだろうか。</p>

<p>「元木さんも持っていて下さいね。」</p>

<p>　さっきの女子高生がそうしていたように、理子さんが切り離して渡してくれたプリクラの半分を僕に渡した。</p>

<p></p>

<p></p>

<p>　出逢いからちょうど１週間経った日曜日。<br />
　僕は、彼女との待ち合わせ場所で理子さんが来るのを待っていた。</p>

<p>　実は、誘ったのは、初デートとも言えるプリクラデートの晩のことだった。<br />
　いつになく積極的だった僕は、家に着いてからもまた、彼女の声が聞きたくなって電話をかけたのだった。</p>

<p>「もしもし。遅くにごめんね。寝てなかった？」</p>

<p>　珍しい。実に珍しい。<br />
　僕から、女性に電話をかけるだなんて。<br />
　今までの自分としてはありえないような行動だったが、これが恋愛マジックというものなのだろう。</p>

<p>「いいえ。寝てなかったですよ。」<br />
「今日はせっかくランチに誘ってくれたのに、ごめん。」<br />
「いいんです。急だったから。それに、夜会えたから嬉しかったです。私ね、早速プリクラ手帳に貼っちゃいましたよ。」</p>

<p>　彼女のストレートな発言にドキッとして、言葉がつまりそうになる。<br />
　...なんて、情けないことを言っている場合じゃない。</p>

<p>「今度は僕から誘わせてもらってもいいかな。週末とか予定ある？」<br />
「週末ですか？土曜日は仕事なんですけど...。日曜日でよかったら...。」<br />
「じゃあ、日曜日にどこか遊びに行こうよ。」<br />
「はい。」</p>

<p>　こうして僕は、初めての出逢いから一週間後に、理子さんと二度目のデートを実現したのだった。</p>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>第３話　誘い</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://kon-katsu.jp/novel/01/03.html" />
    <id>tag:kon-katsu.jp,2010:/novel/01//75.847</id>

    <published>2010-02-09T15:23:40Z</published>
    <updated>2010-02-10T06:08:41Z</updated>

    <summary>二次会以来の理子との再会。理子からの誘いに喜ぶ拓郎。恋愛なんてとっくの昔のことだった拓郎が、理子との恋愛に賭けることを決意する</summary>
    <author>
        <name>小木曽　由加理</name>
        
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://kon-katsu.jp/novel/01/">
        <![CDATA[<p>　昨日の結婚式。<br />
　僕にとっては、特別な一日になった。<br />
　それは理子さんと出会えたから。<br />
　特別な一日だったにもかかわらず、後悔の気持ちしかない僕の心。<br />
　やっぱり昨夜は、三次会に行っておけばよかった。</p>

<p>　もやもやした気持ちを抱えたまま、重い足取りで出勤した。</p>

<p>　窓口の女性が「いらっしゃいませ。」という度に、僕の心はドキッとした。<br />
　それは、理子さんが来たのでは？という期待からだ。<br />
　<br />
　彼女は確かに言った。</p>

<p>「今度から銀行に行くときは、駅前に行くようにしますね！」と。</p>

<p>　しかし、次の日もその次の日も理子さんはあらわれなかった。</p>

<p>「三次会で、もしかして健と...。」</p>

<p>　こういう時に考えるのは、どうして悪いことばっかりなのだろう。<br />
　もう少し物事をプラス思考に考えられないものか。<br />
　サッカーのことならプラス思考に考えるくせに、恋愛のことともなると本当にマイナス思考の僕。</p>

<p>　「張り切って三次会行ってたからなぁ。僕の存在すら覚えてなかったりして...。」</p>

<p>　理子さんの連絡先も知っているのだから、連絡すれば済む話だけど...、僕にはその勇気がなくうじうじと考えているだけだった。</p>

<p><br />
　窓口女性の「いらっしゃいませ。」の声にも、だんだんと反応しなくなった木曜日、何かの視線を感じた。<br />
　またミスしたか？なんてちょっとビビリながら顔をあげたその先には......。</p>

<p>　白いブラウスに紺のベストを着たスレンダーな女性。<br />
　一瞬にして僕の心臓は跳ね上がる。</p>

<p>（理子さんだ！！）</p>

<p>　僕は驚きと喜びでどういう顔をしていいかわからなかったが、理子さんは、僕が気付くと「ペコっ」と頭を下げた。<br />
　僕も動揺したまま同じように頭を下げる。<br />
　本当は、出て行ってロビーで話しをしたいけれど、なんせ仕事中だし上司は周りにたくさんいるし...。<br />
　気になりながら彼女の方を見ると、携帯を指さしている。</p>

<p>（携帯？）</p>

<p>　引き出しの中の携帯を見ると、メールのランプが光っている。<br />
　僕は携帯をポケットに入れそそくさとトイレへと行った。<br />
　いつもなら、デスクで携帯を開けるのに、なぜだか僕はトイレへと行ってしまったのだ。</p>

<p>　メールの相手は、なんと理子さん。</p>

<p>　「元木さん。こんにちは。佐伯です。覚えてますか？今から、銀行に用事があるので行きますね。お仕事中だとわかっておきながらも、ついついメールしちゃいました。」</p>

<p>　覚えてますよ。覚えてますとも！！だって『ビビビ』と電流が走ったんだから。</p>

<p>　僕は嬉しかった。<br />
　何が嬉しかったって、仕事中だってわかってるにも関わらず連絡をくれたということが。<br />
　仕事中だからと遠慮せずに自分が来るということを知らせてくれたから。</p>

<p>　これって僕に会いに来てると受け取ってもいいのかな。<br />
　トイレに来てよかった...。<br />
もし僕がデスクでこのメールを読んだなら、きっと訳のわからないにやけと照れで顔が真っ赤になっていたことだろう。</p>

<p>　「もちろん覚えてますよ。そっちに行って話しできなくてすみません。仕事が終わってからまた連絡してもいいですか？」</p>

<p>　面と向かっていないと、こうも積極的になれるものだと自分に感心しながら、僕はそのままトイレで返信を待った。<br />
　<br />
　「もちろんです！というか...、今日一緒にランチどうですか？」</p>

<p>　えっ？今日？いきなり？？<br />
　理子さんの積極的な誘いに驚きつつも、嬉しさを隠せない僕。<br />
　でも、あいにく今日の昼休みは遅番になっている。<br />
　こんな時に...。</p>

<p>　「すみません。僕今日は、遅番の昼休みなので、たぶん理子さんと時間が合わないかもです。」<br />
　<br />
　なかなかトイレから出られない僕。<br />
　<br />
　「わかりました。ではまた今度。」</p>

<p>　そんな返信メールを読んだ途端、僕は理子さんが帰ってしまうような気がして急いでデスクへと戻った。<br />
　僕の予想通り、理子さんは用事を終えてもう帰るところだった。</p>

<p>　行かないでくれ！<br />
　僕は心の中で叫んだ。<br />
　でも、そんな願いもかなうことなく、理子さんは銀行の出入り口の扉へと向かう。<br />
　でも...、理子さんは振り返って、小さく手を振ってくれた。<br />
　それがすごく嬉しくて、僕も小さく手を上げた。</p>

<p><br />
　理子さんが帰った後も、僕は理子さんのことで頭がいっぱいだった。<br />
　二度目に会った時に早速誘ってくるなんて...。<br />
　僕の防衛ランプは相変わらず反応している。</p>

<p>「あんなに簡単に人を誘えるなんて。」</p>

<p>　僕には絶対にできないような行動力を持った彼女には驚かされるけれど、でも僕としては助かったというのが本音。<br />
　彼女には「僕と２人で過ごす気がある」ということ。<br />
　そう理解していいんだよな。</p>

<p></p>

<p>　午後の仕事は全く手につくはずもなく、考えるのは今後のことばかりだった。<br />
　２時間程度残業があった後、ようやく退社することができた。</p>

<p>「さて...。」</p>

<p>　メールにするか、電話にするか...。<br />
　僕は理子さんに連絡をしようと心に決めていた。</p>

<p>　ここで格好よく電話できればいいんだけど、そういかないのが僕だ。<br />
　健なら電話するだろう...と頭をよぎったが、僕は僕。<br />
　妙な理由で自分を納得させて、メールを打ち始めた。</p>

<p>「今日はすみませんでした。ようやく仕事が終わりました。今度、今日のお詫びをぜひさせてくださいね。」</p>

<p>　僕にはこれが精いっぱい。<br />
　やっとの思いで送信ボタンを押したというのに、一息つく暇もなく着信音がけたたましく鳴った。</p>

<p>「もしもし？元木さんですか？」</p>

<p>　声の主は...、数日ぶりに聞く理子さんの声。</p>

<p>「はい。元木です。ひ、昼間はすみませんでした。」<br />
「そんな、気にしないでくださいよ！今どこですか？」<br />
「銀行を出たとこです。」<br />
「じゃ近いですね！私、今友達とご飯食べてるんですけど、終わったら会ってもらえますか？」</p>

<p>　またまた、積極的な誘い。<br />
　あまりにも積極的すぎて、今までの女性からの痛い目に遭ったいくつかの出来事が頭をかすめる。<br />
　しかし、これは今まではとは『何か』が違うのも感じていた。<br />
　チャンスかもしれない。</p>

<p>「は、はい。いいですよ。」<br />
「よかった！じゃあまた、電話しますね。」</p>

<p>　僕が格好よく誘う前に、強引に誘われた。<br />
　強引という言い方はよくないかもしれないが、僕は彼女のペースに見事にはまってしまっている。</p>

<p>　空いた時間を僕は近くの定食屋で過ごした。<br />
　さっさと食べ終わって本屋で時間つぶしをしている間も、いっこうに連絡がない。<br />
　きっと女性の話は長いんだろう...。</p>

<p>　「着信がないか」「メールが来てないか」とポケットから何度も携帯を取り出してはしまうことを繰り返している時だった。<br />
　僕の肩を「トントン」と叩く人。<br />
　振りかえると...<br />
　理子さんが立っていた。</p>

<p>「外から姿が見えたので。」</p>

<p>　そう言って微笑む彼女にノックダウンしてしまいそうだった。</p>

<p><br />
　僕は世間で言う「草食男子」だろう。<br />
　理子さんに会うまで彼女を作ろうという気にもなれなかった。<br />
　というか、恋愛したいという気持ちになれなかった。<br />
　でも、もう違う。<br />
　そりゃ、肉食男子のような恋愛アピールはできないかもしれない。<br />
　何せ３年も引きこもっていたような男だ。<br />
　僕ができることなんて、知れたものだろう。</p>

<p>　でも、僕は理子さんと付き合いたい。<br />
　だから、草食男子は草食男子らしい恋愛をしていこう。<br />
　僕は、この恋愛に賭けてみようと思う。</p>

<p><br />
　そんな目に見えない大きな決心を、僕は密かに抱いたのだった。<br />
</p>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>第２話　番号交換</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://kon-katsu.jp/novel/01/02.html" />
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    <published>2010-02-03T14:59:17Z</published>
    <updated>2010-02-03T08:22:34Z</updated>

    <summary>親友の結婚式の二次会に参加した主人公。そこで出会った女性と番号交換をする。３年ぶりに恋をした自分に戸惑う主人公の気持ち。</summary>
    <author>
        <name>小木曽　由加理</name>
        
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://kon-katsu.jp/novel/01/">
        <![CDATA[<p>「こんばんは。ここ、いいですか？」<br />
「は、はい。どうぞ。」</p>

<p>　こんなにきれいな人から「いいですか？」なんて聞かれて断るやつなんかきっといないだろう。</p>

<p>　突然現れた彼女がコートを脱ぎながら、このぶりっこ女性と話している間、僕の胸の鼓動はどんどん早くなるばかり。<br />
　いくら暖房が効いた室内とはいえ、こんな寒い日にうっすら汗をかくくらい体が熱くなっていた。<br />
　これを一目ぼれというのだろうか。<br />
　ビビビと電流が走った気がした...というのは、気のせいではなく、どうやら本当に「運命」に出会ったのかもしれない。</p>

<p>　僕はそう確信した...はずだった。</p>

<p>　二次会というこの宴も、すっかりあちこちで打ち解けた輪ができて、新郎新婦も向こうの輪で盛り上がっている。<br />
　僕とこのぶりっこ女性と、そしてこのスレンダーな女性の三人で、「じゃあ、改めて乾杯！」と乾杯をしなおした。</p>

<p>「この子はね、理子っていうの。ちょっと用事があってさっきまで抜けてたんだ。」</p>

<p>　そう言って、この女性の情報をくれるぶりっこ女性が僕には救世主に見えた。<br />
　さっきまで苦手だと思っていたのに...。<br />
　というか、ようやくこのぶりっこ女性の発言を初めて真剣に聞いたような気がする。</p>

<p>「どうも。元木と言います。」</p>

<p>　ああ。こんな時に、気の効いた一言が言えない自分に腹が立つ。</p>

<p>「改めまして。佐伯と言います。」</p>

<p>　彼女が微笑んだ。<br />
　その微笑に、僕はゴッソリとハートを持っていかれてノックオン。<br />
　佐伯理子...かぁ。にこっと笑う顔が、スレンダーで知的に見える。<br />
　外観と違ってとてもかわいらしいので、僕の瞳は彼女に釘付けになっていた。</p>

<p>「元木さんってねぇ、嵐山銀行に勤めてるんだって！」<br />
「えーっ？ほんとですか？私よく行くんですよ！」<br />
「え？　本当ですか？」<br />
「どこの支店にいるんですか？」<br />
「僕は、駅前にある支店です。」<br />
「あー残念！駅前のトコはたまーに行きます。私がよく行くのは、アーケードの中にあるところかな。」<br />
「家か会社が近い...とか？」<br />
「はい。アーケードにある薬局で事務してるので。」</p>

<p>　なるほど。新婦の同僚関係か...。</p>

<p>「でも今度から銀行に行くときは、駅前に行くようにしますね！」</p>

<p>　おいおい。さっきから聞いてれば...「残念！」だとか「次から駅前支店に行く」だとか、思わせぶりな態度。<br />
　「案外、軽い感じの女性なのか？」って頭をよぎった。<br />
　もしかしたら、その辺の女性たちと同じかなって。<br />
　よくいるだろう？<br />
　思わせぶりな態度が得意な女性って...。<br />
　僕はそういう女性によく騙されたクチだから、その点の防衛反応はよく働くんだ。<br />
　僕の体の防衛ランプがピコンっと反応している。<br />
　可愛い。確かに可愛い。<br />
　でも、「本気」になったらマズイような気がする...。<br />
　前の彼女と別れてからも、女性と会う機会はあった。<br />
　でも、この防衛ランプが少しでも反応したら、僕はそれ以上に進む気になれずにいた。<br />
　だから、今でも独り身なんだけど...。<br />
　でも待てよ。<br />
　じゃあ、さっき感じた『ビビビ』は何だったんだ？<br />
　僕の勘が鈍っただけなのか...？</p>

<p>　...なんて、一人で考え込んでいたとき</p>

<p>「新郎のお友達なんですか？」</p>

<p>　という彼女の声で我に返った。</p>

<p>「あっはい。尚也とは高校の同級生で。」<br />
「そうなんですね！優しそうな旦那さんですよねぇ。」<br />
「はい。男から見ても、とってもいい奴ですよ。」<br />
「いいなぁ。２人すごく幸せそうですよねぇ。」</p>

<p>　うっとりしながら、向こうの新郎新婦を見る彼女の目は、すっかり乙女モードになっている。</p>

<p>「予定とかないんですか？」<br />
「えっ？」</p>

<p>　お酒のせいなのか、僕は突然に彼女にこんな質問を投げかけていた。</p>

<p>「結婚の予定とか...。」<br />
「いや。ぜんっぜん。予定があったらいいんですけどねぇ。」</p>

<p>　少し困ったように彼女が笑う。<br />
　ということは...、恋人はいないのだろう。<br />
　僕が思わずこんな質問をしたのには理由がある。<br />
　それは、彼女の右手薬指に指輪が光っていたから。<br />
　指輪をしていたのが左手だったというわけでもないし、それがエンゲージリングでもなく、何の根拠もない　けれど、ただ、なんとなくだけど、それを見た時に彼氏がいるのかなと思ってしまったから。<br />
　でもその予想は単なる思い違いだったようだ。<br />
　「よかった」...そう少し安心している自分の気持ちが、不思議に思えた。</p>

<p>「この子ねぇ。彼氏いないんですよ。合コンとかでいっぱい紹介してるんですけどねぇ。」<br />
「ちょっと、余計なこと言わなくていいじゃない！」<br />
「だってほんとじゃぁん。元木さん、誰かいい人いたら紹介してくださいね。」<br />
「はっ　はい。」</p>

<p>　いきなりの展開だから、慌ててしまった。<br />
　でも、正直、彼女には誰も紹介したくない。<br />
　それでもそんな気持ちを読み取られないように、僕は微笑んだ。</p>

<p>「ほら、よかったねぇ。理子。」<br />
「はは。じゃあお願いしまーす。」<br />
「あ、いいですよ。紹介できる相手がいましたら、ぜひ...」<br />
「ほんとですよ！！じゃあ、今度合コンでも設定してくださいね。」</p>

<p>　外見的には知的で物静かな感じだけど、理子さんはノリもよく結構積極的だった。<br />
　見かけとのギャップに、僕はちょっと戸惑ってしまう。<br />
　でも、それも嫌な感じはしなかった。</p>

<p>「じゃあさ、連絡先教えて下さいよぉ。」</p>

<p>　ぶりっこ女性が携帯を取りだした。赤外線通信で、番号交換。</p>

<p>「理子も交換したら？」</p>

<p>　ぶりっこさんに促された彼女は、少し遠慮がちな表情を見せた。</p>

<p>「えっ。私も教えてもらっていいんですか？」</p>

<p>　さっきまであんなに積極的な発言していた子が...、急に何を言いだすんだろう。<br />
　ますます女ってわからない。</p>

<p>「もちろん。」</p>

<p>　２人の携帯を合わせて通信しながら、携帯を持つ手が少し震えていた僕。<br />
　心の中で防衛ランプが警報を鳴らしているけれど、もうそんなのおかまいなしになっていた。</p>

<p><br />
　元木拓朗　銀行マン。<br />
　彼女と別れて３年目の冬に、僕は久しぶりに恋をした。</p>

<p></p>

<p></p>

<p>　理子さんと番号交換したすぐ後に、三次会へと移ることになった。<br />
　でも、僕は翌日の出勤が早いこともあって、二次会がお開きになった時点で家路についた。<br />
　健も含めて三次会に行く連中も結構いた。<br />
　そしてそのメンバーに理子さんもいたのだ。</p>

<p>　三次会の誘いに彼女ははりきって参加しにいったっけ。<br />
　そりゃあ、三次会に参加する・しないは本人の自由だし、僕がとやかくいうことじゃない。</p>

<p>　...でも、あの後、彼女がどうなったのかがすごく気になって仕方がなかった。<br />
　<br />
　家に帰ってからも考えるのは彼女のことだけ。<br />
　今頃どんなやつらと飲んでいるんだろうかなんて考えていたら、なかなか眠れない。</p>

<p>「三次会行けばよかったかな...。」</p>

<p>　なんて後悔しても、今や遅し。<br />
　やっぱりあの「ビビビ」は勘違いではなく本物だったんだと実感しながら、僕は願った。<br />
　<br />
　健が理子さんにアタックしていないことを...。</p>

<p>　健が相手では太刀打ちすることは無理だろう。<br />
　アイツはいい男だし、女性の扱いにもなれている。<br />
　女性にはとびっきりの紳士である健に、もしかしたら、理子さんが惚れているかもしれない。</p>

<p>「相変わらず、情けない」</p>

<p>　そう呟いてから、僕は深いため息を吐いた。</p>

<p>　理子さんとはもう会うこともできないかもしれない。<br />
　連絡先を交換したからといって、僕から連絡を取ることがなかったら、きっとこの出会いもこのまま終わってしまうのだろう。</p>

<p><br />
　僕は、電話をかけることもメールを打つこともできないまま、ただ携帯を握りしめるだけだった。</p>]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>第１話　出逢い</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://kon-katsu.jp/novel/01/01.html" />
    <id>tag:kon-katsu.jp,2010:/novel/01//75.842</id>

    <published>2010-01-23T17:27:50Z</published>
    <updated>2010-01-26T14:34:48Z</updated>

    <summary>結婚を意識はしていても、なかなか出会いがない主人公。そんな主人公が友人の結婚式の二次会で、衝撃的な出会いをする。</summary>
    <author>
        <name>小木曽　由加理</name>
        
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://kon-katsu.jp/novel/01/">
        <![CDATA[<p> 「やっぱり......」 </p>

<p>　なんだ？ <br />
　どんな言葉がでてくるんだ？<br />
　一瞬</p>

<p>「またか。」</p>

<p>　という言葉が僕の頭をよぎった。<br />
　女性から、『やっぱり』と切り出された後は、たいしていい結果にはつながらない。<br />
　それだけ、僕は『やっぱり』という言葉を聞いているというわけなのだが......。</p>

<p>「やっぱり......」</p>

<p>　 の後に続いた言葉は、</p>

<p>「ごめんね。　拓朗は優しすぎるよ......。」</p>

<p>　ほらね。<br />
　やっぱり......のあとには、いい結果にはつながらなかった。<br />
　これは、前の彼女との別れのシーン。 <br />
　僕は銀行に勤める、元木拓朗。<br />
　自分では意識がないけれど、女の人に言わせたら僕は『優しすぎる』らしい。<br />
　優しすぎて何が悪いんだ？と言いたいところだけど、これが演じるでもない真の自分だから仕方がない。<br />
　きっと世の女性たちは冷たい男には『冷たすぎる』なんて言うのだろう。<br />
　なんて勝手な生き物なんだ？ <br />
　その元彼女との別れ以来、僕は女性と付き合ったことがない。</p>

<p></p>

<p>「かれこれ......３年かぁ。」 </p>

<p>　たまに前の彼女をのことを</p>

<p>「どうしてるかなぁ。」</p>

<p>　と思いだしたりするけど、別に未練があるわけでもなく、今は特に恋人を作ろうとも思っていなかった。<br />
　たまに合コンなんかに顔を出しても、結局は『いい人』どまり。<br />
　いつもいつも同じことの繰り返しだ。<br />
　別にすぐに結婚したいわけでもないし、休みの日にはサッカーで忙しいし......。<br />
　...なんて、僕は自分自身に言い訳をつくってばかりいる。</p>

<p></p>

<p></p>

<p>「あっ子供産まれたんだ。」</p>

<p>　ポストに届いている年賀状に目を通しながら、ふとつぶやいた。<br />
　ちょうど1年前のクリスマスに結婚した友達からの、写真つき年賀状。<br />
　こういうのを見ると、少しだけ、ほんの少し『結婚』に対する焦りも出てくる。<br />
　実家に帰れば、親からもいい話はないのかと言われるし、でも、あまりに「結婚、結婚」言われ続けると、はっきり言って「もうほっといてくれ！」と大声で怒鳴りたくなる衝動を抑えるにも大変だった。</p>

<p>「結婚しろって言われてもなぁ......。」</p>

<p>　結婚というものは相手がいなければできないこと。<br />
　今の僕には、まだまだ縁の遠い、年明けだった。</p>

<p></p>

<p></p>

<p>　新年の仕事始めも終わり、今年最初の週末。<br />
　僕は相も変わらずサッカーグラウンドでボールを蹴っていた。</p>

<p>「先輩、今度合コンしません？」</p>

<p>　同じサッカーチームの後輩が言う。</p>

<p>「こないだ、同窓会があったんですよ。　結構同級生の女たち、フリーの子が多くって。今度合コンしようなーって盛り上がっちゃいましたよ。」<br />
「そうだなー。人数足りなかったら呼んでよ。」<br />
「ダメっすよ、先輩。そんなことだから、なかなか彼女できないんっすよ。」</p>

<p>　後輩が少し呆れ顔で言った。 <br />
　確かに...。</p>

<p>「秋に行った合コンだって、あんまり乗り気じゃなかったですよねぇ。」</p>

<p>　はい...<br />
　確かに......。</p>

<p>「絶対呼びますからね！来て下さいよ！！」</p>

<p>　なんて無理やり約束されて、僕は後輩主催の合コンに参加することになった。<br />
　でも、無理やりとは言っても、僕にとっては、珍しく今までよりも気合いを入れて臨んだ合コンだった。<br />
　そう、気合を入れて望んだ合コンだったのに、正直見事撃沈したのだった。<br />
　女の子たちはみんな可愛い子だった。<br />
　でも、「何か違う」気がして、どうもノるにノれなかったのだ。<br />
　合コンの帰り際、後輩に「また先輩心ココにあらずって顔してましたね。」なんて言われてしまったけど、仕方ない。<br />
　それでも後輩は「これからも凝りずに誘いますからね。」と言ってくれた。<br />
　僕はそんな先輩思いの後輩に、本当は感謝しなければならないのかもしれない。<br />
　でも...、やっぱりサッカーに打ち込んでいた方が気が楽だなぁなんて、思っていた。</p>

<p></p>

<p></p>

<p>「寒いなぁ。今日はこの冬一番の寒さだってさ。あいつ、こんな日に結婚式しなくても...。」</p>

<p>　横で友達がぼやいてる。</p>

<p>「そんな言ったって、もともと決まってたんだから。」</p>

<p>　そうなだめながらも、鼻水が出そうなくらい本当に寒い。<br />
　こんな寒い日に...の意見に同感......。<br />
　今日は、高校からの同級生の尚也の結婚式。<br />
　久々に集まった仲間とも、話が弾む。</p>

<p>「拓朗、ひしさぶり！お前結婚は？」<br />
「してないよ。健は？」<br />
「オレはまだまだ独身！もっと遊ばなきゃね～。」</p>

<p>　健は昔っからこんな感じ。<br />
　彼女を欠かした時期は見たことないし、いつも女のことばかり考えてる。<br />
　僕とはちょっとタイプが違う人間だけど悪い奴ではない。</p>

<p>「今日の女の子、結構可愛いやついるぜ。」</p>

<p>　そう言って、披露宴の最中もあっちのテーブルこっちのテーブルと、新婦の友達関係に声をかけまくっている。<br />
　僕にはできないことを平気でやってのける、ある意味うらやましくも思えるやつだ。</p>

<p>「なあ、この後の二次会どうする？」</p>

<p>　健が聞いてきた。</p>

<p>　やめとくよ...、あまりの寒さにテンションも上がらず、そう言って帰ってしまおうかとも思ったけれど、やっぱり大切な友達の二次会。<br />
　行くのが暗黙のルールなのだろう。<br />
　ああ、こういう時に、ぶっちぎれないのが僕のいいところなのか悪いところなのか...。</p>

<p>　結婚式が終わり、仲間内での二次会が開催される会場へと僕たちは移った。<br />
　結婚式でのビールが効いたのか、少々酔いが回って気持ちがいい。<br />
　めったに騒がない僕も、「今日はとことん飲んでやろう！」という気持ちになる。</p>

<p>「では、新郎新婦の幸せを祝って、かんぱ～い！」</p>

<p>　二次会の幹事が乾杯の音頭を取る。<br />
　カチン！とグラスが当たる音があちらこちらから聞こえてきた。 <br />
　結婚式での二次会だ。<br />
　いろんな人が招待されているから、僕自身面識がない人間も来ている。<br />
　みんなが会場内をウロウロするから、自分の隣にいた人間が数分後には変わっているということもあってもおかしくない話だろう。　 </p>

<p>「どこに勤めてるんですか？」</p>

<p>　ふいに、向かいに座った女性から話しかけてきた。</p>

<p>「嵐山銀行です。」</p>

<p>　警戒心がまったくない僕は、あっさりと答えてしまう。</p>

<p>「へー。すごいですねー。」<br />
「すごくないですよ。結構大変なんです。」<br />
「わかりますぅ～。毎日遅くまで仕事されてるんですよねぇ～。」</p>

<p>　職業を聞かれて銀行マンだというと、必ず女性は「すごいですねぇ」と言うんだよな。<br />
　何でだろう。<br />
　もう聞き飽きた感が否めない。<br />
　しかも、こういったぶりっこな女性は苦手だ。<br />
　それからいろんなことを聞いてきたけど、彼女の話なんて右から左だった。<br />
　乾杯から２０分くらい経ったころ、ぶりっこ女性が</p>

<p>「こっちこっち。」</p>

<p>　と手を挙げた。</p>

<p>「ごめんね。遅くなっちゃった。」</p>

<p>　そう言ってあらわれた女性は、スレンダーな女性。</p>

<p>「こんばんは。ここ、いいですか？」<br />
「は、はい。どうぞ。」</p>

<p>　運命の人に出会うと人間はビビビって電流が走るって聞いたことがある。<br />
　僕は彼女に会った瞬間、なぜだか静電気が体中に走った気がした。</p>

<p><br />
　そう、この冬一番の寒い日に、ぼくは「運命」に出逢ったのだ...。</p>]]>
        
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